オーストラリアのTAFEとは?
TAFE(Technical And Further Education)とは、オーストラリアにある公立の職業訓練学校のこと。
各州が運営しているため、TAFE NSW、TAFE VICTORIAなど州名が学校名に入っている場合が多いです。
非常に幅広い分野を学ぶことができ、提供していないコースは無いと言えるほど。資格はもちろん、学士や修士などの学位を取得できるコースもあります。
またTAFEは職業訓練学校としての役割があるため、学ぶ内容は実習が多く、実践に重きを置いています。
地元や各産業・企業とも密接につながっており、時代の変化や今求められているスキルに即して、カリキュラムが組まれています。
コースによっては実際の現場で職務経験を積む研修もあり、卒業後に即戦力として働くための学校と言えるでしょう。
キャンパスは大学と同じくらい充実しており、TAFE NSWだけでも100以上のキャンパスがあります。
キャンパス内の設備は州が定めた基準をクリアするよう、専門家が定期的にチェックしており、実際の職場を再現した施設が多いです。
オーストラリアの大学や専門学校との違いは?
オーストラリアにある教育機関には、TAFEの他に私立の専門学校と大学があります。それぞれの違いは以下の通りです。
専門学校 | TAFE | 大学 | |
---|---|---|---|
運営 | 私立 | 公立 | 私立、公立 |
授業内容 | 学術〜実践 | 実践 | 学術 |
学費 | 安め | 普通 | 高い |
入学難易度 | 普通 | 普通 | 難しい |
入学日 | 3-4回/年 | 2回/年 | 2回/年 |
学生比率 | ほぼ留学生 | ほぼオーストラリア人 | 留学生とオーストラリア人 |
TAFEは、授業のレベルや学費で言えば専門学校と大学の中間といった感じ。
しかし実践的な学びができるという点では大学よりも強く、特に手に職系のコースはとても評判が高いです。
留学生が学生のほとんどを占める専門学校と比べて、TAFEは現地学生の割合が多く、90%以上がオーストラリア人というクラスもよくあります。
オーストラリアのTAFEで学べる分野やコース
開講コース | ||
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会計と財務 | 広告、マーケティング、イベント管理 | 航空宇宙 |
高齢者ケアと看護 | 動物ケア&馬産業 | 建築と製図 |
アートとデザイン | 自動車 | 経営管理 |
ビジネスとマネジメント | ビルドトレード | 木工、家具、家具 |
児童サービス | 土木建設と測量 | コミュニティサービス |
料理とワイン | 電気技術 | 英語 |
エンジニアリング | 環境と農業 | ファッションとテキスタイル |
花屋 | リーディング、ライティング、数学の基礎 | 健康と福祉 |
髪、美容、マッサージ | 園芸 | ホスピタリティ |
人事、トレーニング、労働安全衛生 | 情報技術 | 食品科学 |
言語と文化 | ライブラリと記録管理 | 法律 |
ロジスティクス | 製造、製作、溶接 | 海事 |
メディアとエンターテインメント | 鉱業と資源 | 音楽とサウンドプロダクション |
写真 | 不動産 | セールス&リテール |
スポーツとフィットネス | 旅行と観光 |
オーストラリアのTAFEで取得出来る資格や学位
Certificate1〜4|証明書
TAFEで取得できる、一番難易度の低いコースはCertificateです。Certificateとは「証明書」や「修了書」であるため、専門資格と呼べるのはDiploma以上となります。
そのため、留学生の中にはCertificateを経由してDiplomaを取得したり、Certificateを飛ばしてDiplomaからスタートする人も多くいます。
しかし、現地の職場ではCertificateを持つことでその能力が認められることもあります。
例えば、シェフの場合はCertificate 3〜4を取得すると即戦力として実際の調理に関われたり、チャイルドケアワーカーであればCertificate 3を取得すると保育の現場でアシスタントとして働くことが可能です。
Certificateのレベルは1〜4まであるものの、1〜2を提供しているコースは少なく、ほとんどのTAFEが3〜4を提供しています。
- Certificate1(4~6ヶ月)
-
管理指導のもとで、専門職業に関する基本的な技術を身につけ、基本的な実務を行える。
- Certificate2(6~8ヶ月)
-
日々のルーティーンワークをこなし、簡単な問題を解決したり、状況に基づいて正しく対応することができる。
- Certificate3(6ヶ月以上)
-
予期せぬ問題に対処し、ルーティーン以外の仕事もこなせる認知力、技術力、コミュニケーション力がある。
- Certificate4(12〜18ヶ月以上)
-
現場チームのリーダーとしてチームメイトに仕事を教えたり、アドバイスあげたりしてプロジェクトを完成させられる。
Diploma|資格
多くの留学生が目指すDiplomaからは、授業内容もより専門的・本格的になります。
「Diploma以上のレベルの2年以上のコースで、定められた分野である」などの条件を満たすと、卒業ビザが取得できる可能性もあります。
- Diploma(18〜24ヶ月以上)
-
専門分野で必要な基本的な知識やスキルを全て身につけている。資格として履歴書に書き、雇用者から認めてもらえるレベル。
- Advanced Diploma(2〜3年)
-
Diplomaよりも責任の求められる仕事や、複雑な仕事を行える。管理者として働くこともできる。
Degree|学位
Degreeとは学位のことで、TAFEは大学ではないもののBachelorのような大学と同じレベルのコースを提供していることがあります。
主に雇用主に雇われて現場での実務を行うDiplomaと違い、Bachelorがあれば管理職に就いたり、国家資格を必要とする仕事(会計士、医師、弁護士など)に就くこともできます。
- Bachelor(3年〜4年以上)
-
日本の学士号にあたるもの。幅広い専門知識やスキルを持ち、大学を卒業したことと同じレベルの資格をもらえる。
オーストラリアのTAFEにかかる費用
TAFEの学費はコースや学ぶ分野によって大きく異なり、毎年学費は高くなる傾向にあります。
コースによっては授業料のほかに、実習で使う器具や教材などがかかります。
学費の例(2022年)
TAFE NSW
学費合計 | 期間 | |
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Diploma of Agriculture | A$ 14,030 | 1年 |
Diploma of Beauty Therapy | A$ 17,050 | 1年 |
Diploma of Building and Construction | A$21,360 | 1年 |
TAFE Queensland
学費合計 | 期間 | |
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Diploma of Building Design | A$18,500 | 1年 |
Diploma of Information Technology | A$24,000 | 1.5年 |
Diploma of Hospitality Management | A$28,000 | 2年 |
Diploma of Accounting | A$17,000 | 1.5年 |
オーストラリアのTAFEの入学条件
英語力
Certificate、Diploma:IELTS 5.5
Bachelor:IELTS 6.0~7.0
※通訳、翻訳、医療などのコースではIELTS 6.0以上が必要となることもあります。
最終学歴の成績
高校卒業(GPA 2.5-3.0/5.0)
※アート系のコースではポートフォリオの提出が求められることがあります。
入学時期
TAFEの入学時期は大学と同じく2月と7月です。
コースによっては年に1度しか入学時期がない場合もあるので、注意が必要です。
また学生に人気のコースは早く入学枠が埋まるため、一度逃せば半年〜一年待つ必要があります。そのため進学を決めたら早めに手続きをするのがおすすめです。
オーストラリアのTAFE卒業後のキャリア
大学進学
TAFEで学んだ分野をより深く学びたい方におすすめなのは、大学進学です。
TAFEのDiploma・Bachelorコースを卒業してから、大学のBachelor・Masterコースに進学することができます。
大学ではより学術的な学びができるので、TAFEを経由することで実務と学術の両方の知識を身につけることが可能です。
現地就職
現地就職したい場合は、卒業後に働けるビザを取得する必要があります。
TAFEを卒業した留学生にとって一番多いのは、卒業ビザを取得するケース。卒業ビザがあれば一定の期間、自由に国内で滞在・就労することができます。
ただし卒業ビザの取得には条件があり、全てのコースの卒業生が取得できるわけではないので注意が必要です。
日本に帰国
一番多いのは日本に帰国するパターンです。
TAFEで身につけた、世界水準のスキルと英語力があれば、日本での就職の際にもアピールすることができます。