オーストラリアで調理師/シェフとして永住権取得する方法とメリット 

オーストラリアのレストランで働くシェフのイメージ写真

オーストラリアで永住権・就労を目指す人たちにとって、調理師/シェフは人気の職業です。

その人気の理由は永住権を取得できるほかの職業と比べて、可能性が高いからといえます。 ではなぜシェフでの取得が有利なのでしょうか? 今回はシェフとして現地就労、永住権取得する方法やメリットについて詳しく解説していきます。

※永住権や移民に関するルールは変更が多く、内容も複雑となっています。今回の記事はあくまで参考として、詳細は移民コンサルタントなどの専門家にご相談ください。

目次

シェフとして永住権を取るためのステップ

シェフとして永住権を取るためにはいくつか方法がありますが、この記事では最も一般的なステップをご紹介します。 

1 調理師コースで2年学ぶ

シェフの場合は専門学校やTAFEなどのコースでCertificate IV(商業調理師資格)を取得する必要があります。

コースによってはCertificate III を含む場合などパッケージとなっているものもありますが、そちらを選択しても問題ありません。 コースは2年(92週間)かけて学ぶ必要があるので注意しましょう。

さらに在学中に360時間のワークプレイスメント(実習)を修了する必要があります。この実習はシェフアシスタントやキッチンハンドとして働いた場合でも認定されます。 シェフは人手不足が続いている職業で需要が高いため、職場探しにそこまで苦労することはないでしょう。  

2 卒業ビザ(Temporary Graduate Visa – subclass 485)の取得

 コースを卒業したら次のステップは、卒業ビザを申請することです。

卒業ビザを申請するためには卒業資格、成績証明書、英語試験の証明書(IELTSやTOEFLなど)、TRAによるprovisional skills assessmentの合格などが必要となります。 provisional skills assessmentとはTRA(Trade recognition Australia)という査定機関がシェフになるのにふさわしい人材かをチェックすることです。

条件をすべてクリアしたら卒業ビザ(485ビザ)を得ることができます。

卒業ビザには2種類あるのですが、この場合はgraduate work streamとなります。

3 Full skill assessmentを合格する

 調理コースを卒業したからといって、すぐにシェフとしてビザに申請できるわけではありません。482ビザ以外は、以下のステップをクリアしてskill assessment にパスする必要があります。

Job Ready Program

Job Ready Programは雇用に基づくプログラムです。 

1 Job Ready Employment (JRE) 
・Provisional Skills Assessmentに合格する
・シェフとしてフルタイムで12ヶ月働く   

2 Job Ready Workplace Assessment (JRWA)
・最低6ヶ月の給与証明
・TRAが職場に行って審査   

3 Job Ready Final Assessment (JRFA)
必要書類や雇用証明書などを最終チェック   

5 永住権取得
Full Skills Assessmentが発行されると、永住権申請のプロセスに進むことができます。 オーストラリアの永住ビザにはいくつか種類があり、取得する方法や条件もビザによって様々です。

さらに職業によっても申請できるビザが変わるので、自分がどのビザを狙えるのか綿密に計画する必要があります。    

シェフとして取得できる永住権(ビザ)の種類

パスポートの入出国スタンプVISAのイメージ写真

189ビザ(Skilled Independent) 技術独立移住ビザ

王道といえる永住ビザで、技術独立移住ビザとも呼ばれるものです。

申請をするにはEOI(Expression of Interest)をオンラインで行う必要があります。EOIを出した人のスキルや英語力、経験、学歴などからポイントをつけ、ポイントの高い人から永住権申請が許可されます。 このビザで求められるポイントは年々高くなっており、スポンサーなど外的な要因を必要としないものの、競争率が高いため難易度がとても高いビザです。  

190ビザ(Skilled Nominated) 州ノミネーション技術移住ビザ

189ビザのポイントが足りないという人が次の選択肢として考えるのが190ビザ。

EOIを出してポイント制で選ばれる部分は189ビザと同じですが、州政府にスポンサーをしてもらうというのが大きな違いです。 各州では不足している職業の人材を審査し、必要な人材と認めた人には5ポイントの追加を行います。州の受け入れ条件はそれぞれ違うため、自分の住んでいる州の公式サイトを確認しましょう。  

491ビザ(Skilled Work Regional)地方移住暫定スポンサービザ

他のビザと比べて条件が比較的緩いビザで、189、190のどちらも難しいという人が選ぶ傾向があります。

5年間有効なビザで、オーストラリアで地方と定められているエリアの人手不足を補うためのものです。スキル面の条件を満たすことで州からスポンサーされてビザ取得ができます。 しかしこのビザは暫定の永住権。このビザ取得後に3年間その地域で働くなど、一定の条件を満たすことで永住権を取得することができます。  

482TSS(雇用主指名暫定ビジネスビザ)

上記で述べたビザと違って、雇用主にスポンサーとなってもらうビザ。

MLTSSL職にて3年間の就労期間を終えた後、オーストラリア永住ビザの申請が可能になります。 申請者のみではなく、スポンサーする雇用主についても審査され、 ビジネス運営は合法的か、過去の業務実績が十分あるかなどが調べられます。  

どうして永住権にはシェフが有利なの?

レストランで働くシェフのイメージ写真

永住権取得までにかかるお金が少なく、時間も短い

永住権取得につながる職種は基本的に政府が定めたリストにあるものとなっています。

そのため職種が限られており、シェフの他には会計職、IT職、医療、チャイルドケアなどが人気です。しかしそれらの職種で永住権を申請するには大学や大学院で勉強して学位を取得しなければいけません。

しかしオーストラリアの大学学費は非常に高く、年間で200万〜300万円ほどかかるのが普通です。 大学を卒業するのも容易ではなく、難易度の高い専門的な授業を英語で受けることになります。

さらに課題や試験は日本よりも大変とされており、無事卒業するには相当な努力が必要です。 それなのに永住権に関する法律や条件は頻繁に変わるため、「必死に目指していた職業がリストから外れてしまった」というケースもあります。

本当に就きたかった職業ならまだしも、永住権のためだけに選んだ職業に莫大な時間と労力を投資するというのは、リスクのある選択とも言えるでしょう。

その点シェフは大学に通う必要がなく、コース期間も短いです。コースではもちろんしっかり勉強する必要はありますが、実技が多いため英語が苦手な人でも卒業しやすいと言えます。

需要が高く就職先に困らない

 オーストラリアでは現在、ホスピタリティやサービス業で働く労働者の需要が急増中。

特にシェフは深刻な人手不足となっていて、2023年には6万人のシェフが不足するとされています。 さらに将来的にもこの需要は続くと見られており、seek.comによると5年間で19.4%雇用が増加するとされています。

移民が多く外国料理が人気なオーストラリアでは、外食やレストランが外国人によって運営されていることが多いです。さらにシェフの仕事がキッチンでの肉体労働であることから、オーストラリア人からはあまり人気のない職業でもあります。 そのため政府は永住権が取得できるようにすることで、足りない労働人口を移民の力によって補おうとしています。

求人数の多い職業のため、調理コース在学中から働き先を見つけることができるのも魅力の一つ。スポンサーになってくれる雇用者を探したり、経験を積みながら生活費を稼ぐこともできます。

他の職業では、大学を卒業しても就職先を見つけるというのが大きな壁となります。特に日本で関連した経験がない人は仕事探しに苦労することも。

一方シェフなら未経験だとしてもキッチンハンドやアシスタントとしてキッチンでの経験を身に着けることができ、就職先に困ることもまずないと言えるでしょう。  

各都市に調理コースがある

シェフはとてもポピュラーなコースで、都市・地方にかかわらず多くの学校でコースが提供されています。

そのため地方や過疎地域でもコースがないという問題が起こりにくいです。これは州や地方からのスポンサーを受けて取得する永住権を狙っている場合にも大事となってきます。

多くの人が狙っている地域で学校に通って永住権申請の際のポイントを稼いだり、在学中に就職先を探したりします。 学校選びの際は学校の所在地が重要となるので、たくさんあるコースから選べるというのは大きなメリットとなります。    

お気軽にご相談ください

シェフとして永住権を取得する方法やメリットについてご紹介しました。

オーストラリアの永住権取得の難易度は高くなっており、特に職業選択で悩んでいる方が多いです。その中でもシェフは時間的や経済的なハードルが低く、魅力が多い選択肢のためとても人気です。 もちろん楽な道ではありませんが、本気で永住権を目指す人は考えてみてもいいかもしれません。

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