2023年12月11日、オーストラリア政府は新しい移民政策を発表しました。
今回の移民政策は以下の5つが焦点となっており、コロナ後の政策からの大きな転換となりそうです。
・優秀なグローバル人材に的を絞った移民獲得とそのために合理化されたパスウェイ
・国際教育の質を向上させるための留学生と教育提供者(学校など)に対する高い基準を設定
・労働者の搾取に対処し、賃金と労働条件を保護するためのビザ改定
・オーストラリアの地方がスキルのある労働者を迅速に獲得できるようにする
・移民をコロナ流行前の水準に戻し、適切なスキルを適切な場所に確保するための新たなアプローチ
この政策により、それにより学生ビザや卒業ビザの条件変更や基準の引き上げが予定されているようです。
さらに留学生だけではなく、コースを提供する教育機関への審査も厳格化が計画されています。そのため、ビザとり学校やビザホッピングによる長期滞在が難しくなる可能性があります。
今回の変更によって留学生に大きく影響しそうな部分や、それによって考えられる影響などについてお伝えしたいと思います。
それぞれ実際に変更される時期が異なるので注意しましょう。
留学生が注目したい変更点
学生ビザと卒業ビザの英語力条件
卒業ビザ申請に必要な英語力がIELTS 6.0からIELTS 6.5に、学生ビザ申請はIELTS 5.5からIELTS 6.0に変更となります。
※ELICOSコースの場合はIELTS 4.5→IELTS 5.0、ファウンデーションコースの場合IELTS 5.5。
現在、オーストラリアの学生ビザを取得する際、英語力が求められる国籍と求められない国籍があります。
現時点で日本人は求められていないため、この英語力条件の引き上げが日本人にも適用されるかどうかというのはこれからの発表によって明らかになりそうです。
GTEの代わりにGSTを導入
学生ビザを申請する際、留学の目的が本当に勉強であることを示すため、GTE(Genuine Temporary Entrant)という志望理由書が求められています。
これの代わりにGST(Genuine Student test)という新しいテストを導入し、審査を強化するようです。
GSTによる審査は以下の2つの項目に重点を置きます。
- 学業と目指すキャリアに関係があるか、コースが将来就きたい職業に役立つかなど。
- 申請する教育機関のリスクレベルによってビザ申請の処理を変更。(信頼性の低い教育機関へは時間がかかる可能性あり)
教育機関への審査強化
学生ビザ申請者だけでなく、受け入れる教育機関への審査も強化される見込みで、インテグリティやコースの品質、入学条件、学生サポートなどがチェックされます。
不正規な教育機関の行動に対処する規制当局を支援するために、追加の立法改正を行うことが書かれています。
ビザホッピングの規制
学生ビザを利用して現地での滞在を延ばすため、多様なコースに通ったり、学位や資格レベルの低いコースに長期間通ったりする「ビザホッピング」が規制されます。
永住者になる見込みがないまま、学生ビザのような一時的なビザを永続的にとり続けるというのが問題視されているようです。
この問題を解決するため、政府はGSTを活用し、続けて学生ビザを申請する留学生に対して追加の審査を行うとしています。
卒業ビザに関する変更
期間の短縮
今年の変更によって特定のコースを卒業した場合、卒業ビザの期間が延長されていました。しかしその延長措置が廃止され、元の卒業ビザの期間に戻ります。
年齢制限
卒業ビザが申請できる最高年齢は50歳でしたが、35歳に引き下げられます。
変更が実行されるのはいつ?
政府はAction Planという書類の中に、上記の変更が行われる大まかな時間を示しています。
気になる変更があった場合は上記のリンクから確認していただければと思います。
これからの流れや計画は?
今後の方針が発表されたものの、具体的な条件や変更が行われる日にちはまだ不明です。
いきなりの変更で不安を感じている方も多いと思いますが、猶予期間や特定の人への免除などのバックアップが無いとも言い切れません。
そのため推測で行動するのではなく、政府からのより詳細な公式発表を待つことをおすすめします。
また、今回の発表を踏まえて今から準備できることを考えたり、自分が持てる選択肢について模索してみたりするのがいいかもしれません。
学生ビザの審査が厳しくなるというのは明らかになっているので、これから申請する方はより慎重になる必要があります。