オーストラリア留学を決断し、クイーンズランド大学(UQ)でTESOLのマスターコースに通われていた三露 郁史さん。
卒業後も現地で就職したいとの思いから、クイーンズランド工科大学(QUT)のITマスターコースに変更され現在も在学中です。
今回はITコースの詳しい授業内容やシェアハウス、アルバイト、友達づくり、ブリスベンでの生活などリアルな留学生活事情をインタビューさせていただきました。
クイーンズランド工科大学でITコースを学ぶことを決めた理由
元々英語教師になりたかったため、クイーンズランド大学でTESOLを学んでいました。
しかし1学期経った段階で気持ちの変化があり、現地オーストラリアに残って現地で就労したいと思うようになりました。現地で就職しやすく、永住権取得の可能性がある職業としてITを選んだというのが一番大きな理由です。
また、ITコースは学費に対する金銭的なリターンが大きいと思ったというのもあります。オーストラリアの大学は学費が非常に高く、何百万円もの投資をしなければいけません。
その投資をできるだけ早く回収し、親孝行もしたかったので、その点からもTESOLを学んで教師に戻るよりもITのほうがいいと考えました。
しかし未だに教育についての関心はあるので、経験のある分野と今学んでいる分野を組み合わせ、ITを通して広範囲で教育に携わりたいです。
ブリスベンを留学先に選んだ理由
一番大きな要因は物価です。まずGroup of 8と呼ばれる名門大学であり、TESOLを学べる大学院の中でクイーンズランド大学が比較的費用が抑えめだったのでブリスベンを選びました。
また学費だけでもかなりの費用がかかるのに、大都会となると物価が高いため、生活費が上がってしまいます。
そんな理由から他の都市は断念し、ブリスベンを選びました。
ブリスベン郊外のホームステイ先に住んでみて
留学当初から住んでいたシェアハウスで全く交流がなく、英語を話す機会の欲しさにホームステイを始めました。Facebook上の地域ごとのコミュニティーグループで呼びかけて見つけました。
ホームステイ先の家族とは仲が良かったのですが、生活スタイルが合わないと感じることがありました。
ホームステイ先では犬を飼っており、その犬のために窓をいつも開けていました。しかしそのせいでハエが大量に入ってきて、夏場はキッチンなどに常に大量にいる状態になっていました。
ホストは全く気にしていなかったものの、個人的にはストレスを感じていました。
日本の都会出身だと虫に慣れていない人が多いように感じますが、オーストラリアではあまり気にしない人が多いようです。小さなことですが、感覚が違いすぎると一緒に暮らしていて精神的にしんどくなると感じた経験です。
また、郊外なのでバスの本数が少なく、午後5-6時でバスが無くなってしまいます。クイーンズランド大学に通っていたときは自転車で通学できたのですが、クイーンズランド工科大学に通ってからはバス通学となり、特に遅くまで大学に残って勉強したいときは特に不便に感じました。
そのため、現在はシティに近い場所に引っ越してシェアハウスに住んでいます。
シェアハウスに住んでみて
シェアハウスはFlatmateという、オーストラリアでも有名なシェアハウス検索サイトで見つけました。
住人は国際色豊かで、オーナー、その娘、4人の留学生が一緒に住んでいます。
私はシェアハウスといえば一緒にご飯を作ったりするなど交流があるものだと期待していましたが、そうではありませんでした。
シェアハウスの雰囲気というのは、住んでいる人たちの多数がどんなタイプかで決まると思います。人によってシェアハウスに求めるものが異なるため、必ずしも和気藹々としている訳ではないと知ったほうがいいでしょう。
しかし今のシェアハウスは他と比べても家賃が安いため気に入っており、卒業するまで住めたらいいなと思っています。
どの都市でも家賃が高騰している中、現在住んでいるシェアハウスの家賃は大きい部屋で$205/週、小さめの部屋だと$185とブリスベンシティー付近の中でもかなり安いほうです。
一度家賃が値上がりしたのですが、$5/週アップ程度で済んだので安心しました。
物価の高騰や円安の影響もあるため、家賃を抑えるというのは留学生にとって重要だと思います。
オーストラリアでのアルバイト
去年の12月から今年の4月まで飲食店に勤めていましたが、現在は辞めました。代わりに土日に日本語を教えるチューターをしています。
飲食店では、新店舗をオープンするということで雇われたのですが、お店の都合でなかなかオープンできず、シフトがあまり与えられませんでした。
そのまましばらく待っていたのですが、これ以上待っていても仕方ないと思い辞めることにしました。
英語がまだ得意じゃない場合は、日本語でも働ける場所ということで日本食レストランなどに応募することになるかと思います。
ローカルの仕事が難しいから日本食レストラン、というのは多くの人が考える道ですが、実際は結構難しいです。
特に留学生やワーホリで日本人が増えている中で、現地の日本食レストランの数には限りがあるため、競争率も高くなります。面接に行ったら大人数が順に受けていたという話も聞きました。
現在の日本語のチューターの仕事は、TUTOROOというサイトで見つけました。生徒はアニメや日本の文化が好きな20代のオーストラリア人です。観光したときに不自由なく会話したいという気持ちから日本語を習っているようです。
生徒はとても学習意欲が高く、授業時間はずっと高速で英語で質問が来るのでとても頭を使います。また日本語を英語で説明するのに慣れていないので、少し大変だと感じることがあります。
しかし飲食系のアルバイトよりもずっと楽しく、教えるのが好きなんだなと再度実感しています。
また体力的な面でもメリットを感じています。飲食店で働いていたときは、大学の授業が終わってから4-5時間立ちっぱなしで働いており、体力的なつらさを感じていました。
飲食店のアルバイトのほうがお金を稼げるのですが、自分の好きな仕事をしたいという気持ちが強いです。これからは生徒の数をもう少し増やし、安定的に働ければと思っています。
クイーンズランド工科大学でITコースを学んでみて
ITコースを選んだことに満足しています。
大学院といえば日本だと研究ばかりをするイメージですが、オーストラリアの大学院のコースワークだと職業訓練のような感じです。
かなりの速度でプログラミングを学んでいくので、多くのことを吸収できるし自分自身の成長も目に見えて分かります。
クイーンズランド大学でTESOLを学んでいたときは、実践的なスキルを学ぶというよりは、理論を学び、レポートを完成させることがメインでした。プログラミングでは学んだことがそのまま将来の仕事につながるので、やりがいがあります。
マスターコースはバチェラーコースよりも早く卒業できますが、授業の進みが早く、ついていくのが難しいので、それがメリットでもデメリットでもあります。
私のコースでは2学期から専攻10個くらいある中から選びます。そのため1学期はそれぞれの専攻を1つずつ試しに学んでいきます。
つまり1学期では興味のない分野も学ぶことになるので、踏ん張りどころとも言えます。
ITコースの具体的な学習内容
プログラミングの授業では、まずC#を集中的に学びます。
大学のIT教育の方針は、「広く浅く学ぶよりは、狭く深く学ぶのがいい」というもので、まずは一つの言語を極め、基礎を知るのが大切なようです。
たくさんある中からなぜC#を選ぶのかについて、はっきりとした答えは分からないものの、ブリスベンで仕事をするにはC#の需要が高いからという話も聞きました。
C#以外の実践的な科目はweb developmentがあり、HTMLやCSSなどを学びました。しかしマスターコースだからか、基本的なスキルはある前提で授業が行われます。事前にProgateのHTML & CSSの中級コースまでは終えておくと良いと思います。
1つ目の課題はwebサイトの見た目であるフロントエンド部分を作り、2つ目の課題では1つ目の課題をもとにPython Flaskなどを用いてデータベースなどのバックエンド部分を開発しました。
1つ目の課題から2つ目にとりかかるまでは2週間ほどと短く、短期間で多くのことをしなければいけなかったのが大変でした。
私は友達と助け合い、なんとか終わらせることができました。どうしても出来ないときはクラスメイトと教え合うことも重要だと思います。
ITを学ぶのに数学の知識は必要?
最初の学期は一切数学要素がありませんでした。今後はアルゴリズムなどの授業があるので、そこでは数学に関わる部分も習うかもしれません。
独学で学んでいることやおすすめの教材
大学が始まる前に、HTML & CSS, Python、SQLなどを学びました。
おすすめの教材はYouTubeのBro codeという配信者が出している動画、英語のコードアカデミー、日本のプログラミング学習サイトProgateなどです。
基本的にはProgateで学べますが#CはProgateに含まれていないので、YouTubeチャンネルのBro codeをお勧めします。C#以外にも多様な言語の動画を出しているので素晴らしいチャンネルだと思います。
お金を出しても学びたいのだったらコードアカデミーで学ぶのもいいでしょう。しかし個人的にはYouTubeで十分です。
予備知識無しで授業に臨むより、事前に勉強したほうが理解度は上がると思います。
オーストラリア留学生活中に苦労していること
一番の予想外なポイントは、ネイティブと話す機会が少ないということです。
常にネイティブに囲まれて1日を終えるような留学生活を想像していたのですが、それとは違ったというのが正直な印象です。
大学院にはそもそもネイティブが殆どおらず、クイーンズランド大学ではアジア系の留学生、クイーンズランド工科大学ではインド系の留学生が多かったです。また教授でインド系の方もちらほらおられます。
日本では日本語が第一言語で、ほとんどの人が日本語ネイティブですよね。しかしオーストラリアでは全く異なり、圧倒されるほどマルチカルチャーです。
オーストラリア人のほうが少数派なのではと思うほどで、積極的に探さなければネイティブと交流する機会がありません。
そのため、オーストラリア人が使っているのが英語だから英語が第一言語なのではなく、多民族国家だからみんな英語を使わざるを得ないのではと考えることもあります。
そんなこともあって日常生活で英語力を向上させるというよりは、ニュースなどを聞いて英語を勉強するほうがためになる気がします。
しかし私は院にいるので、学部留学だったらネイティブ率が増えるかもしれませんね。
唯一現地の人とつながれるのは教会に行った時です。私はクリスチャンではないのですが、カフェを改装したような、カジュアルにやっている教会に毎週通っています。
初期からいるので、ネイティブの人も私を優しく受け入れてくれています。特に大学の休み期間は部屋にこもりがちで他に交流の場がないので、貴重な場所となっています。
オーストラリア留学生活で楽しいこと
留学してから一年間、学業で忙しかったため、休暇を楽しむことにはあまり集中していませんでした。
しかしオーストラリアの雰囲気やオシャレなカフェがたくさんあるところは気に入っています。
コーヒー文化が根強く、美味しいコーヒーが飲めるので、好きな人にはぴったりでしょう。
また24時間空いている図書館もあるので、勉強する場所に困ることがなく、学生にも優しいところだと思います。
私は日本の大都市に住んでいたのですが、ブリスベンはコンパクトながらも都会らしさがあり、とても便利です。さらにのどかな雰囲気があり、人も少ないので喧騒とは無縁です。
また、ミートアップを通じて新しい人と交流するのも楽しいです。一つのイベントは街の縮図のようで、日本人の増減など、街にどんな人たちがいるかを知ることができます。
しかし娯楽は日本のほうが多様にあると感じており、離れて分かる日本の良さも実感しています。
オーストラリア留学卒業後のキャリア
卒業後は現地でソフトウェアエンジニアになりたいです。卒業ビザの期間が延長されたので、より一層その意欲が強まりました。
しかし場所についてはまだ考えており、ブリスベンかメルボルンを考えています。
就職活動のために早く動かなければという焦りがあり、今から場所を決めたりインターンシップをするなどの行動をしなければと思っています。
今の自分のスキルは雇われるまでに達していないと思うので、学校の休暇期間にも独学してスキルを上げたいです。
特にITだと何ができるかという証明が必要なので、ポートフォリオ作りに力を注ぐつもりです。
数ある留学エージェントの中でKOKOSを選んだ理由は?
一番の理由は他の留学エージェントよりも返信が早かったからです。
複数の留学エージェントに相談していましたが、長い間返信が来ないエージェントがありました。また返信がきても、面談などの次のステップになかなか進ませてくれないところもありました。
留学は大事な将来の計画なので、長い間答えを保留にされるというのは、気持ちのいいものではありません。
そのため返信が早いというのは、留学エージェント選びで重要なポイントだったと思います。
オーストラリア留学を考えている人にアドバイス
専攻選びには注意してと伝えたいです。
私が実際そうだったのですが、どれだけ強い意志を持って留学に来ても、途中で目的や興味が変わることがあります。
実際に現地に住んでみて見えることもあるだろうし、数年もあれば計画を大きく変えるような出来事も起こるかもしれません。
そのため、一番理想的なのは現地就職も日本での就職もできて、自分の興味のある分野を見つけることだと思います。
自分の計画が変わることも見越して、将来のキャリアに対して柔軟性があるコースが見つけられればいいですね。
また英語力を日本で上げておくこともおすすめです。
ほとんどの大学のコースはIELTS6.5で入学できますが、7くらいはあったほうが安心でしょう。
IELTS6.5では授業は理解できますが、集中して聞くのに疲れるレベルかと思います。
大学院には現地に3年以上住んでいる人もおり、そんな人たちはグループワークでもストレスなくやりとりできるので、差がついてしまいます。
特に文系だとレポート課題が多いので特に必要だと思います。英語力が高い友達は課題を終える速度も早く、英語力があればあるほど有利だと感じました。
あとは留学に対する期待を上げすぎないことも大切です。キラキラした留学生活ばかりを想像して来てしまうと、現実とのギャップにがっかりしてしまうかもしれません。
KOKOSからひとこと
現地就職という目標のために、英語教師からキャリアチェンジをした三露さん。
IT未経験ながらも大学入学前にプログラミングを勉強されたり、クラスメイトと教えあって課題をクリアされるなど、ストイックに学んでいるのが伝わってきました。
最新のシェアハウスやアルバイト事情など、現役の留学生だからこそ分かる情報は、これからブリスベンやオーストラリアで留学される方の大きな助けになりますね。
これからの留学生活や現地就職も、三露さんの行動力があれば成し遂げられるはず!KOKOSはこれからも応援しています。