オーストラリアは物価が高い国として知られていますが、給料が高いことでも有名ですよね。 今回は留学生からお問い合わせが多い獣医について、オーストラリアでの年収についてご紹介します。
オーストラリアの獣医の平均年収
2023年のオーストラリアの、平均的なスキルを持つ獣医の平均年収は$116,000(約1,030万円)です。これは日給にすると$446(約4万円)、時給にすると$59.49(約5,240円)になります。
一方で新卒や経験の浅いエントリーレベルだと年収は$96,548(約858万円)から。 経験豊富なベテランレベルとなると$142,483(約1,265万円)ほどに上がります。
比べて2023年のオーストラリアの職業全体の平均年収は$94,441(約840万円)です。
他の職業と比べても獣医はオーストラリアの中でも年収の高い、トップランクに入る職業といえるでしょう。
※A$1=88.8円で計算
※オーストラリアの大手求人サイト、talent.comが国内の求人を元に調べたデータを元にしています。
日本の獣医の平均年収
2022年の日本の獣医の平均的な給料は448万円。
月給だと37万円、派遣やアルバイトの平均時給は1071-1799円となります。
新卒レベルだと300万円で、経験豊富なベテランレベルは800万円ほどです。
物価の差はありますが、オーストラリアの平均年収と比べると1/2倍以下ということになりますね。 少しデータは古いですが2019年の日本の全職業の平均年収は436万円なので、獣医の年収は平均と同じくらいか少し高い程度と言えるでしょう。
※求人ボックスが2022年10月の求人を元に調べたデータを元にしています。
なぜこんなに年収が高いの?
それでは、なぜオーストラリアの獣医は日本よりも待遇がいいのでしょうか?
その理由としては以下が考えられます。
社会的な地位が高い
一番の理由としては、ペットの治療はもちろん、生態系の保護など国にとって重要な役割を担う仕事であることから、社会的な地位が高いことです。
オーストラリアでは固有の動物や豊かな自然があるため、共生するための様々な活動が行われています。そのため、獣医は動物を保護するだけではなく、動物疫病などの脅威から国を守る役割も担っています。
そのため、オーストラリアの獣医は通常の医師と同じくらい地位が高く、高収入が得られる仕事の一つとなっているようです。
獣医に求められるレベルが高い
動物医療や動物福祉の先進国として知られているオーストラリア。
獣医学部は入学の難易度や競争率も高く、厳しい入学条件をクリアし、数々の課題や実習を終え無事卒業した人だけが獣医になることができます。
大学の施設は非常に整っており、特に動物の数と敷地の広さでは世界トップレベルと言えるでしょう。 キャンパス内に動物病院や広大なファーム、無数の研究施設が完備されていることも普通です。
さらに、実際の職場で実務経験を積むフィールドワークも充実しており、野生動物、外来動物、家畜の健康問題を診断し、治療し、予防するスキルを習得できます。
大学の規模や幅広い学習内容からも、国がどれほど獣医学を重要視しているかが分かりますね。
スキルに比例して給与が上がるシステム
オーストラリアでは経験やスキルに応じて給与が上がるシステムが定着しており、現状より良い条件の仕事があればすぐに転職してしまう人も多いです。
さらに、高い学位を取得することで業務の幅を広げることもできるため、大学などに通い直すことで給与アップをする人もいるようです。 経験やスキルがあれば、他の獣医を監督するなど責任のあるポジションにつけるので、昇進により給料が上がるするケースも。
年齢や就業年数に関わらず、どんな経験があるか、どんなことができるかといったスキル面が重要視されるため、年齢が若くても高収入を得ている獣医もいます。
オーストラリアの獣医が直面している問題
身体的・精神的にハードな仕事
獣医は身体的、精神的にストレスの多い仕事であり、離職率が高くなっています。
そのことが獣医コースの志願者が多いにも関わらず、人手不足が解消されない一因かもしれません。
病気や怪我をしたり不安を感じている動物は、獣医や獣医看護師を引っ掻いたり噛んだりすることがあります。
さらに動物が苦しむところを見たり、死と向き合わなければいけない場面も多いです。
獣医の人手不足
獣医や動物看護師の需要が非常に大きいにもかかわらず、深刻な人手不足が起きています。
オーストラリアはペットの飼育率が最も高い国の一つで、62%以上の家庭がペットを飼育しています。さらに洪水や山火事など自然災害の被害を受けた動物の保護など、ペットの治療以外にも多くの現場で獣医の力が必要とされています。
そのため獣医コースに通う学生の数は年々増えているにもかかわらず、大きすぎる需要には追いついていません。 特に地方での獣医師が足りておらず、獣医や患者が1000kmもの遠距離まで移動しなくてはならないことも。
この問題を解消しようと、近年オーストラリア獣医師協会(AVA)は連邦政府に対し、地方に住み、地方で働く獣医師の学費負担をなくし、地方の獣医師に経済的な援助をするように呼びかけました。 そのように、人手不足を根本から解決しようとする動きも出ているようです。