IELTS(International English Language Testing System)はTOEFLやTOEIC、英検に比べて日本ではあまり知られていないかもしれませんが、イギリス・ヨーロッパ・オーストラリアなどへの留学には不可欠な英語能力試験です。日本でも最近では大学受験の際にIELTSのスコアが使えるようになり、認知度が上がってきています。
リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4つのセクションで構成され、総合的な英語力が評価されます。
IELTSの教科書や試験問題集ではリスニング、リーディングの自己採点はできますが、スピーキング・ライティングは自己採点が難しいです。有料のIELTS対策コースや採点サービスに申し込む人も多いですが、なるべく費用は節約したいですよね。
この記事では、無料で採点したり改善点を教えてくれる、最新のAIを使ったスコアアップ法をお教えします!
オーストラリア留学に必要なIELTSスコア:スコアは0から9の0.5刻みのバンドスコアで評価されます。オーストラリアの一般的な高等教育機関が求めるスコアは以下の通りです(いずれもアカデミックモジュール)。
ファウンデーションコース・ディプロマコース 全体スコア: 5.5~6.0(各バンド: 5.0~5.5以上)
学部課程(Undergraduate)全体スコア: 6.0~6.5(各バンド: 5.5~6.0以上)
大学院課程(Postgraduate)全体スコア: 6.5~7.0(各バンド: 6.0~6.5以上)
TOEICの満点990点のように大きな数字ではないため、スコアを0.5上げるのも簡単ではなく、3ヶ月程度はかかると言われています。
IELTSの概要
今はコンピューター版が主流
従来のペーパー版(筆記形式)に加え、丁度コロナ禍前後の2019年にはじまったコンピューター版が現在は主流になっています(アカデミック・ジェネラル両方とも提供されています)。コンピューター版・ペーパー版の主な違いは以下の通りです。
タイピングが慣れている人は、断然コンピューター版をお勧めします。リスニングの音声もヘッドフォンでクリアに聞くことができ、ライティングの際に消しゴムを使う必要がなく、文章のコピペが可能なので、文章をとりあえず書いた後に切り貼りして構成を考えることができます。コンピューター版でもメモ用紙が配られたり、単語をハイライトしたりすることができます。
普段手書きしない人だと慣れないペーパー版のライティングでなかなかスコアが取れなかったのに、コンピューター版にしたらスコアが0.5-1も上がった!という話はよく聞きます。
タイピングが苦手な人は、ペーパー版を受験するのがよいでしょう。
主な違い | PC版 | ペーパー版 |
---|---|---|
試験順序 | リスニング>リーディング>ライティング>スピーキング | ライティング>リーディング>リスニング>スピーキング |
リスニング | 自分専用のヘッドフォンで聴ける | 会場のスピーカーで聴く |
ライティング | ・キーボードで素早く入力可 ・コピペ、文字数カウント可 | 手書き |
結果発表 | 約1-7日後 | 約13日後 |
試験会場(日本) | 拠点は少ない(東京・大阪・京都)がほぼ毎日実施 | 約16都市と多いが、1~2週間に1回程度と頻度は少ない |
日本とオーストラリアのIELTS受験料
為替によりますが、オーストラリアの方が受験料は日本と比べて割高となっています。
日本 | オーストラリア | |
---|---|---|
受験料 | 27,500円(税込) | $445(1ドル100円で約44,500円) |
IELTS One Skill Retake(コンピューター版のみ)
2023年12月よりIELTS One Skill Retakeという制度が新たに導入されました。コンピューター版IELTSを受験した後、特定の1技能のみを再受験できます。
主な特徴
- 対象: コンピューター版IELTSの受験者
- 再受験可能期間: 元の試験日から60日以内
- 再受験回数: 1回の試験につき1回のみ
- 受験料: 18,000円(税込)
メリット
- 1技能のみの再受験が可能で、時間と費用を節約できる
- 試験形式は通常のIELTSと同じため、慣れた形式で受験できる
- 新しい成績証明書が発行され、最初のテスト日から2年間有効
注意点
- ペーパー版IELTSやIELTS Online(自宅受験版)では利用できない
- スコアの提出先がOne Skill Retakeを認定しているか事前に確認する必要がある(例えば、卒業生ビザではOne Skill Retakeの結果は利用できません)
- 元の試験で使用したパスポートの有効期限がOne Skill Retakeの試験日まで有効である必要がある
IELTS One Skill Retakeは、効率的に目標スコアを達成するための新しいオプションですが、利用する際は各主催団体の最新情報を確認し、スコア提出先がこの制度を認定しているか必ず確認することが重要です。
おすすめの教材とリソース
英検やTOEFLなどのように沢山の問題集や教材があるわけではありませんが、公式サイトやオンライン教材で基本的なところは十分に対策可能です。
- IELTS Preparation resources: IELTSの公式オンラインカタログ
- Cambridge IELTS Practice Tests: 公式問題集として定評があり、出題傾向の把握に最適
- IELTS by IDPアプリ: 無料の公式学習コンテンツ
- YouTube公式チャンネル: 情報ビデオやウェビナー
- オンライン模擬テスト: IELTS公式ウェブサイトで実際の試験形式を体験できます
AIを活用してIELTSライティングのスコアアップを目指す!
IELTSのライティングセクションは、多くの受験者にとって最難関セクションといってもいいかもしれません。それは、英文のライティングにそもそも慣れていないということもありますが、自分の書いた文章に対して適切なフィードバックを得ることが難しいのも大きな要因ではないでしょうか。
自分の書いた文章のどこが悪いのか?スコアアップするにはどういった構成にして、どんな単語を使えばいいのか?模範解答を見ても、自分の考えとは違っていて、しっくりこないことも多いかもしれません。
専門の対策コースに通う人も多いですが、お金も時間もかかるし、留学までに時間がないとなるべく早く結果を出したいですよね。
採点基準も公開されてはいますが(下図)、色々書いてあって、読んでみても自分の書いたエッセイを客観的に評価するのは難しいです。
そんな時に頼りになるのが、今話題の生成AIを用いたライティング学習です。
AIは基本的な英文法は勿論、オンライン上にあるIELTSの模範解答や採点基準をデータとして学習しているため、指示するだけですぐに採点してくれます。公式ブログでもおすすめされているくらい、信頼できる方法なので、まだAIを使ったことがない人も、ぜひ試してみてください!
- チャット欄に以下のような命令を書いて送信します。
- ChatGPTが例題を作成・表示してくれます。
- その例題に沿って、自分でエッセイを作文します。
- 作文のヒントが欲しい場合は以下のような質問をしてもよいでしょう。
- 自分で書いたエッセイをChatGPTにコピペし、下記のような質問を投げます。
- ChatGPTが採点結果と改善すべき点を出してくれます。
- 改善点にしたがって書き直したエッセイを、同じように送信してスコアアップを目指します。
- 改善案に沿って書き換えた自分のエッセイで気になる箇所があれば、その文章をピンポイントで抜き出して以下のような質問をします。
最後に、ChatGPTに模範解答を作成してもらい、自分の書いたエッセイと比較してみましょう。最初から模範解答を見てしまうと練習にならないので、まずは自力でエッセイを書くことを心がけましょう。
その他のAIの活用
ChatGPT以外にも同じようにIELTS対策に使えるAIとして
・Google Gemini(Googleアカウントがあれば無料で利用可)
・Microsoft Copilot(マイクロソフトアカウントがあれば無料で利用可、Win11のデスクトップからもアクセス可)
・Writing AI(IELTS、TOEFLに特化。アカウント不要)
などの利用もおすすめです。
最後に
IELTSのスコアアップはそう簡単ではありませんが、適切な準備と戦略的な学習アプローチを取ることが、目標スコア達成への近道です。
今回紹介したAIテクニックを活用すれば、これまで分からなかった自分の弱点を見つけることができるはずです。AIツールを効果的に活用することで、24時間いつでも練習でき、即座にフィードバックを得られるため、効率的にIELTSの対策を進めることができます。
夢のオーストラリア留学に向けて、頑張ってください!