クイーンズランド大学大学院の留学体験談|応用言語学・TESOL修士|西村昌記さん

日本の大学院で英語教育学の修士号を取得し、博士後期課程で研究を続けながら——2つ目の修士号を求めてオーストラリアへ。西村昌記さんは、クイーンズランド大学大学院でMaster of Applied Linguistics and TESOL Studiesを修了しました。「唯一無二の正解は存在しない」という英語教育の本質への気づき、テーマパークのように広大なUQキャンパス、そしてアカデミック英語の準備法まで。英語教育の専門家だからこその視点で、留学のリアルを語っていただきました。

お話を伺った方

西村 昌記(にしむら まさき)さん

目次

フィンランドで見た授業風景から。2つ目の修士号を目指した理由

——まず、オーストラリア留学を決めたきっかけから教えてください。

西村さん:私はまず、学部時代の交換留学先であるフィンランドの大学で受けた授業をきっかけに、海外の英語教授法に興味をもつようになりました。特に印象に残ったのは、教員が学生たちを巧みに授業に巻き込みながら英語を教える姿です。日本で受けてきた英語教育とは異なる授業のあり方に触れて、海外ではどのように英語が教えられているのかを、より深く学びたいと思うようになりました。

西村さん:その後、日本の大学院修士課程で英語教育学を学ぶなかで、日本で日本人学習者に英語を教えるための視点に加えて、海外における英語教育についても専門的に学び、より幅広い知見を身につけたいと考えるようになりました。そこで、海外の大学院に留学して、二つ目の修士号を取得することを決意したんです。

——留学先にオーストラリアを選んだ理由は?

西村さん:せっかく海外で学ぶのであれば、多様な文化的・言語的背景をもつ人々が暮らす環境に身を置いて、さまざまなバックグラウンドをもつ学習者への英語教育について学びたいと考えました。そうした環境で英語教育を学ぶことで、自分自身の教育に対する視野もさらに広げられるのではないかと。それで、多文化・多民族社会であるオーストラリアを選びました。

西村さん:そのうえで、具体的には次のような点も決め手になりました。

  1. 年間を通して比較的温暖な気候で、勉強にも生活にも適した環境が整っている
  2. 雄大な自然や豊かな生態系を身近に感じることができ、勉強の合間にも気軽にリフレッシュできる
  3. 比較的治安が良く、安心して留学生活を送りやすい
  4. クイーンズランド大学のあるブリスベンは、都市としての便利さがありながら街がコンパクトにまとまっており、生活しやすい
  5. 日本との時差が少ないため、日本にいる家族や友人とも気軽に連絡を取りやすい

恩師の助言が決め手に。クイーンズランド大学を選んだ理由

——進学先にクイーンズランド大学を決めた理由を教えてください。

西村さん:大学時代からお世話になっている恩師の存在と、その恩師からの助言が大きく影響しています。恩師自身もクイーンズランド大学への留学経験があって、私が留学先をなかなか決めきれずにいた頃、何気ない飲み会の席で、入学条件や大学の環境、学生寮、そしてブリスベンという街について、いろいろと話を聞かせてくれました。今振り返ってみると、そのときの会話がクイーンズランド大学を選ぶ大きなきっかけになったのだと思います。

西村さん:私の性格をよく知る恩師から、「適度に娯楽はあるけれど、都会すぎない。遊びすぎることなく、勉強にも集中できる環境」として勧めてもらったことも、大きな後押しになりました。実際に留学生活を経験した今、その言葉はまさにその通りだったと感じています。自分の性格まで考えたうえで勧めてくださった恩師には、今でも感謝してもしきれません。

「唯一無二の正解は存在しない」。応用言語学・TESOLで得た気づき

——大学院ではどのような内容を学ばれましたか?

西村さん:Applied Linguistics and TESOL Studiesの修士号を取得しました。応用言語学とTESOLとは、簡単に言えば、英語を母語としない人々に対する英語教授法を研究する分野です。「どうすればより多くの人にとって、言語学習を効果的で意義のあるものにできるのか」という問いについて、さまざまな角度から探究します。海外で英語教育を学び、教授や現地の学生、世界各国から集まった留学生たちと直接対話しながらこの問いについて考えられたことは、自分の英語教育に対する考え方を深める貴重な機会となりました。

——学ぶなかで、特に印象的だった気づきはありますか?

西村さん:英語教育には科学的・客観的な研究に基づくさまざまな教授法や学習法が存在する一方で、「これさえやれば誰にでもうまくいく」という唯一無二の正解や、すべての学習者に当てはまる普遍的な学習法は存在しない、ということです。

西村さん:言語学習には、学習者一人ひとりの性格やジェンダー、第二言語の学習を始めた年齢、生まれ育った国や文化的背景、さらには母語と目標言語との言語的な距離など、個人的・社会的なさまざまな要因が複雑に関わっています。ある学習者にとって効果的な方法が、別の学習者にも同じように効果的であるとは限らないんです。

西村さん:これは一見すると、「より効果的な言語教育のあり方を探究する」という学問そのものが、ある種の矛盾を抱えているようにも見えます。しかし私は、むしろそこに言語学習の本質があるのではないかと考えるようになりました。唯一の正解を探すのではなく、さまざまな研究成果や教授法について理解したうえで、目の前の学習者にとって何が最も適しているのかを考えることこそが、英語教育に携わる者に求められる姿勢なのだと思います。

西村さん:今後は、クイーンズランド大学で得た海外における英語教育の知見を日本の教育現場にも応用しながら、学生との対話を大切にしていきたいと考えています。そして、一人ひとりの学生が自分自身に合った学習方法を見つけて、それを主体的に英語学習へ活かしていけるような指導を目指していきたいです。

キャンパスは「テーマパーク」であり「一つの街」。UQの魅力

——オーストラリア留学で楽しかったこと、良かったなと思うことは何ですか?

西村さん:まず驚いたのは、キャンパスの規模が想像以上に大きかったことです。感覚的には、日本で「大学」と聞いて思い浮かべるキャンパスの4〜5倍ほどの広さがあって、大学内を周遊する巡回バスまで走っています。ウォーキングコースをはじめ、川や公園、池などがあり、豊かな自然に囲まれた環境が整っています。

西村さん:キャンパス内をのんびり歩いているだけでも、日本ではペットショップでもなかなか見かけないような色鮮やかな鳥や、オーストラリアならではの小動物に出会うことがあります。大学近くの寮に住んでいると、朝は鳥たちの美しい合唱で心地よく目を覚ますこともあって、目覚まし時計がいらないほどでした。その意味では、大学そのものが一種のテーマパークのようでもあります。

西村さん:一方で、キャンパス内にはカフェやコンビニ、カフェテリア、レストラン、バー、ジム、プールなどがそれぞれ複数あって、生活に必要なものが一通りそろっています。テーマパークであると同時に、キャンパスそのものが「一つの街」のようにも感じられました。昼時や試験前になるとキッチンカーもやってきて、普段とはまた違った活気が生まれます。24時間利用できる図書館があることも、学生や研究者にとって非常にありがたい環境でした。

西村さん:魅力はキャンパス内だけにとどまりません。ブリスベン市内へはバスやフェリーで簡単にアクセスできるので、勉強に疲れたときにも気軽に街へ出て気分転換ができます。少し足を延ばせば、公共交通機関を乗り継いでコアラに会いに行くこともできて、勉強とオーストラリアならではの体験を両立できる環境だと思います。

——学生同士の交流はいかがでしたか?

西村さん:広大なキャンパスをもつ総合大学だからこそ、普段ならなかなか接点をもつことのない学生たちと出会えることも魅力の一つです。私自身、応用言語学を学びながら、心理学、コンピューターサイエンス、分子生物学、宇宙工学など、自分の専門とはまったく異なる分野を学ぶ学生たちと交流する機会がありました。それぞれ異なる専門や考え方をもつ学生たちとの交流は、授業とはまた違った意味で刺激的で、海外の大規模な総合大学に留学したからこそ得られた貴重な経験だったと感じています。

日常会話とアカデミック英語は別物。苦労した経験

——逆に、苦労した経験について教えてください。

西村さん:語学面で言えば、私が留学中に接した学生たちを見ていると、日本人留学生は、中国、マレーシア、シンガポールなど、他のアジアの国・地域からの留学生と比べても、英語でのスピーキングに苦労している印象がありました。日常会話は問題なくできても、アカデミックなプレゼンテーションやディベート、ディスカッションとなると、それぞれにある程度決まった形式や表現があります。単に英会話を練習するだけではなく、こうしたアカデミックな場面で「どのように自分の意見を組み立て、相手に伝えるのか」を、留学前から意識的に練習しておくことをおすすめします。

西村さん:留学中は、そのレベルの英語を使いながら授業を受け、ディスカッションに参加し、さらに課題にも取り組むという毎日が続きます。慣れないうちは、頭の中で常に英語を処理し続けることになるので、体力的にも精神的にも大変だと感じる場面がしばしばありました。

——支えになったサポートはありましたか?

西村さん:私が学んだ応用言語学の教授陣やチューターは、まさに言語学習・言語教育の専門家です。難しい内容であっても、できるだけ理解しやすい言葉を意識的に選びながら説明してくれていたように感じます。教授たちも気さくで、授業中に意見を交わすことができ、ディスカッションそのものを楽しむことができました。

西村さん:チュートリアルでは、チューターがさまざまなアクティビティを取り入れながら、グループワークやディスカッションを通して講義内容を補足してくれます。分からないことがあれば気軽に質問できる存在でもあって、私自身、何度も助けられました。

西村さん:さらに、主に専任の教授や准教授が担当する講義形式の授業は録画されて、音声に合わせた英語字幕付きの動画として、後から何度でも視聴することができました。授業中に聞き取れなかった部分や理解が追いつかなかった箇所を、自分のペースで繰り返し確認できるのは、英語を母語としない留学生にとって非常にありがたい仕組みです。こうしたテクノロジーを活用しながら学べることも、現代に留学する私たちに与えられた大きな恩恵の一つだと感じました。

「母語でできないことは、第二言語ではなおさら難しい」。これから留学する人へ

——これから留学を考えている方へアドバイスをお願いします。

西村さん:英語で文章を書く力は、できれば留学前にしっかりと身につけておくことをおすすめします。海外大学ではエッセイなどの形式で提出する課題が多く、それらが成績評価において大きなウェイトを占めています。複数の講義で課される課題の締め切りがほぼ同じ時期に重なることも珍しくありません。そのような場合には、それぞれの課題で求められていることを正確に理解したうえで、限られた時間のなかで効率よく文章にまとめる力が必要になります。

西村さん:近年では、AIも学習を支える重要なテクノロジーの一つになっています。一方で、海外大学では、提出した文章がAIによって生成されたものなのか、自分自身で書いたものなのかについて厳しく確認される場合があります。AIに頼って文章を完成させるのではなく、自分自身の言葉で英語を書く力を身につけて、自分が書いた文章とその内容の両方に責任をもつことが大切だと感じました。

西村さん:そして、意外に思われるかもしれませんが、留学前に母語である日本語で論文を書く訓練をしておくことも、留学後の大きな助けになります。引用の仕方や参考文献の扱い方、論文に求められる文体や論理の組み立て方などを、日本語の段階で自然に使えるようにしておけば、英語でアカデミックな文章を書く際にも応用することができます。

西村さん:「母語でできないことは、第二言語ではなおさら難しい」ということを、留学を通して改めて実感しました。英語そのものを学ぶことはもちろん大切ですが、その前提となる「自分の考えを論理的に文章として組み立てる力」を、日本語でも十分に鍛えておくことをおすすめします。

大学との交渉まで間に立ってくれた。KOKOSを選んだ理由

——留学エージェントとしてKOKOSに決めた理由や、利用して良かった点を伺えますか?

西村さん:留学準備を始めた当時、私は博士後期課程での研究を続けながら準備も進めていて、研究と並行して必要な手続きをすべて一人でこなせるのか、正直なところ不安を感じていました。そんなとき、ウェブでKOKOSさんのホームページを見つけて、すぐにスタッフの方にメールで問い合わせたことがきっかけです。ホームページがシンプルで見やすく、必要な情報が分かりやすくまとめられていたことも、相談してみようと思った理由の一つでした。

西村さん:留学準備では、ビザの取得に加えて、私の場合はクイーンズランド大学からの返済不要の奨学金の獲得や、1年間分の単位認定など、実現したいことがいくつかありました。こうした手続きについて、担当の方が必要な情報をその都度的確に教えてくださって、効率よくサポートしていただいたことで、最終的には希望していた目標を達成することができました。

——特に心強かったのは、どんな場面でしたか?

西村さん:大学側とのやり取りをサポートしていただけたことです。手続きを進めるなかでは、なかなか先方から返事が来なかったり、こちらから改めて問い合わせや働きかけをする必要があったりする場面もありました。自分一人で進めていたら、どのタイミングで、どこまで踏み込んで問い合わせてよいのか判断に迷って、うまく進められなかったかもしれません。

西村さん:特に合格が決まる前の段階では、「あまり強く問い合わせると合否に影響するのではないか」と考えてしまって、大学側にどこまで要望を伝えてよいのか分からないという不安もありました。そうしたときに、大学と留学希望者との間に立って、必要に応じてやり取りや交渉をサポートしてくださるKOKOSさんの存在は、とても頼もしく感じられました。

西村さん:大学とのやり取りには正式な文書が必要になるケースもあります。海外大学への出願に慣れていない人が、研究や仕事を続けながらすべてを一人で進めるのは決して簡単ではないと思います。振り返ってみても、必要な場面で専門的なサポートを受けられたことは、留学を実現するうえで大きな助けになりました。

——西村さん、貴重なお話をありがとうございました!

編集部より

英語教育の専門家として、教える側の視点から留学を語ってくださった西村さん。アカデミック英語の準備や、日本語での論文執筆訓練という助言は、これから大学院留学を目指す方にとって実践的なヒントになるはずです。なお、記事内で触れられている奨学金や単位認定は西村さんのケースであり、条件や可否は出願内容・時期によって異なります。ご自身の場合にどのような選択肢があるか、まずは無料相談で確認してみてください。

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